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ミッション&社長ご挨拶

 

■ 国際的な産・学・官の連携のもとに情報通信関連分野における先駆的・独創的研究を推進する
■ 優れた成果を挙げて広く社会・人類の幸せに貢献するとともに高度な専門的人材の育成にも寄与する
■ 世界的な研究開発拠点として関西文化学術研究都市の発展に中核的な役割を果たす


 

新年のご挨拶

令和 3年


 
 

                                                    代表取締役社長 
                                                      国龍 
                                                      (コクリュウ)

 

 明けましておめでとうございます。
 昨冬、中国武漢から始まったCOVID-19は瞬く間に世界を覆い、対ウィルス戦争とも言える未曽有の災禍となっています。このため、ストレスの多いテレワークで大変な思いをしている人も少なからずいらっしゃるでしょう。一方、四半期報告に汲々としていた企業人には、逆に、これまで何をしてきたのか、将来どうありたいのかをじっくり考える時間を得たとも言えます。
 HOCインテリジェントテクノロジー株式会社は、情報通信関連分野における先駆的・独創的研究の推進を掲げて1986 年に発足しました。創業当時、日本のオフィスは「筆記用具と算盤」から「パソコンとLAN」に向けたオフィスオートメーションを標榜するオフィスの第一次産業革命の只中にあり、ATRは先陣を切ってXEROXのJ-Star等の先端的事務環境を導入して研究開発を始めました。Google Homeにつながるニューラルネットワークベースの音声認識、仮想現実(VR)、テレワーク、衛星間光通信といった一連の研究もこの時期に行っています。いずれも、商用化には30年かかっています。
 2001年以降の日本のオフィスは社内システムのデジタル化と相互接続という第二次産業革命に進むはずでしたが、残念ながら頓挫し、その後遺症に悩んでいるのが今日と思います。国家目標のSociety 5.0どころかSociety 3.0(産業社会)に甘んじているのが今の日本です。会社が生き残るには、構成員間でビジョンや情報を共有することが重要です。「筆記用具と算盤」時代のオフィスでは、酒場での口頭での情報交換も多用して確認をしていました。最近はそのようなことを嫌う社員が多くなり、結果として社内も会社間でも意思疎通が円滑に行われなくなったと感じます。21世紀になって日本企業の活力が下がった一因と考えます。デジタル化やオンライン化とは、日本人が変わってしまったことを前提に、機械力を駆使して、社内及び会社間の情報共有を図ることが目標でしょう。
 2025年に開かれる大阪・関西万博は、「いのち輝く社会」を目指していますが、機械力で強化された人間とそれが構成する社会のあり様を示すべきと思います。ATRでは、これをサイボーグAIと呼んでおりますが、そのため必要となる技術開発を、国内外の大学や研究機関、企業等との研究交流、共同研究を通じて、これまで以上に積極的に取り組んでまいります。
 引き続きATRをよろしくお願い申し上げます。

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当社は創業以来23年間SAP ERPシステムの導入・保守サービスを専業としており、これまで150社を超えるお客様にSAP ERPを導入してまいりました。お陰様で多くのお客様、そしてSAP社様から代表的なSAPパートナーとしてご評価頂いております。

私共はシステム構築がGoalではなく、お客様の業務品質が向上すること、お客様の業務改革や改善が成功することこそがGoalであると考え、お客様と一緒にGoalに向けて取り組むことを使命としております。そして、それを実現する為の三つのポイント-“製品・導入サービス・保守サービス”について、全社を挙げて開発・改善・研鑽の活動に日々取り組んで参りました。加えて、グローバル約90ヶ国のSAPパートナーと協力して日本でもTOPクラスのグローバル支援体制を構築しお客様のグローバル展開に応え、さらにIT運用コストや負担を軽減するSAPのS/4 HANAクラウドサービスにもいち早く対応を完了しソリューションのご提供を開始しております。以上のように、SAPに関するご支援については万全の体制をご用意しております。

事業活動や日々の業務に問題を感じて改善をお考えの皆様、これらの課題がシステムにより解決できる可能性を感じておられるお客様、基幹業務の刷新をお考えのお客様、是非当社にお任せ下さい。当社は、皆様と一緒にGoalに向けて取り組みます。

さらに、激動の時代を一層の成長機会に変えたいお客様へ

過去20年と打って変わりこれからの20年は社会や経済が大きく変化します。新しいテクノロジーが開花し現実世界へ実用化され社会が大きく変化すると共に、それに乗っかってアジア圏の成長が加速し大きな繁栄と成熟を迎えると想定されます。これは日本にとっても様々なマイナス課題を解決して、さらなる成長を遂げるチャンスでもあります。アジアの一員としてその繁栄を享受する為には、グローバルに立脚して多様性を受け入れ柔軟に思考するグローバル感覚・感性、それに根差した新しい働き方の確立、テクノロジーをベースにした新しいビジネスモデルやサービスへの積極的な対応、時には挑戦が必要になると考えます。

このように考えて、新しいテクノロジーを活用して企業の生まれ変わり、変化や進化を実現するお手伝い始めています。一つは、ERPで可視化される”情報”をビジネスや業務で使いこなしていくことのお手伝い、企業で働く人一人ひとりのパフォーマンスの向上に本気で取り組みます。もう一つはAI・IOT・ビッグデータ・RPA等の新しいテクノロジーを活用した働き方改革やモノづくり改革のお手伝い、個別業務の改善ではなく、工場全体や企業全体での圧倒的な生産性改革の達成を目指します。これらの取り組みを通して、お客様と一緒に変化・進化を進め、10年後はアジアのとある国で、お客様と一緒に海外のお客様に向けてのビジネスを展開し、アジアの人々と共に成長することを目標に取り組んで参りたいと考えております。

激動の時代を一層の成長機会に変えたいお客様へ、是非、一緒に取り組んで参りましょ

もう一つは、DX支援コンサルティングサービスです。
これはまだかたちや内容が定まっていないビジネスです。AI/IoT/RPAといった新しい技術を活用して、お客様のイノベーションを実現することをコンセプトに新しいビジネスを創造している最中です。

実は、DXがトレンドになっている昨今、一つの問題意識を持っています。
多くのお客さまやITベンダーがAIやIoTを活用してシステムを構築することに取り組んでおられます。
その多くが個別業務の最適化や改善であって、お客様のビジネス全体や工場全体の生産性を大幅に改善するものではありません。むしろそのような取り組みがほとんど無いことが実情です。
持つ問題意識はまさにその点にあります。AIやIoTに代表される技術革新、その新しい情報技術を活用して、お客様のビジネスそのものを大きく変えるサービスこそ、本来取り組むべきものではないかと考えています。

そこで、現在では二つのサービスの創造を目指して取り組みを開始しています。

一つは次世代工場の実現、様々なテクノロジーを活用して、工場全体のスループットを最大化するサービス、所謂本格的なスマート工場の実現を目指すものです。現場のミクロな視点だけでなく、工場全体、あるいはERPが管理する企業全体から見たマクロな視点での取り組みです。もう一つは、オフィス全体、ホワイトカラー全体の生産性向上の追求です。オフィスワークでSAPのようなERPが貢献できる領域はそれほど大きくなく、むしろERPの外側に存在する様々な”作業“の見直しや効率化が革新的な生産性向上には不可欠です。そこに新しいテクノロジーを活用して取り組んでいくサービスです。例えば、経理人員を本当に無くしてしまう活動、営業の事務作業を限りなくゼロにしてしまう活動、そんな活動に取り組んで行こうとしています。

 

 ブレインテック関連市場を“BMI、BCI、センサー”、“教育、スポーツ”、“睡眠、音楽、瞑想”、“働き方、生産性”、“ヘルスケア”、“ニューロマーケティング”、“エンタメ、コンテンツ”、“研究開発、実証実験”といった注目の8領域に分類、合計で45の企業・サービスを掲載しています。

 

 

 脳神経科学とITを融合させ、脳波などから脳の状態を分析することで、より良い睡眠や効率的な学習などにつなげるサービスです。 近年各国が脳の全容解明を掲げて脳神経研究を後押ししていることもあり、脳の各部位の働きや脳のネットワークについて分かってきました。ブレインテックは、脳波や脳血流、あるいは瞳孔の動きなどから脳の状態を「見える化」し、その状態に基づいてトレーニングを行ったり適切な刺激を脳に与えたりすることができます。

 能力向上だけでなくヘルスケアの分野ではアルツハイマー病などの脳疾患の治療につながることも期待されており、ブレインテックの市場規模は試算によると2024年には5兆円規模になるとの予測もあります。

アメリカでは「Brain Initiative」という官民一体の国家研究プロジェクトが進んでいます。2025年までに人の脳の働きを解明してアルツハイマー病などの脳疾患の治療方法を確立することを目指しています。サービスの動向としては、能力向上と睡眠の質の向上が中心で、特に能力向上についてはオリンピックチームやプロスポーツチームが積極的に練習に組み入れています。他に興味深いところでは、アメリカの国民課題である肥満についても、ブレインテックで解決できるのではというサービスもあります。

 中国は「China Brain Project」で脳神経研究を行っています。神経科学の研究を進めることで、脳疾患の治療とBMI(ブレインマシンインターフェース)研究に役立てようとしています。国としての特色はAI(人工知能)研究に特に力を入れていることで、現在の深層学習を基とした「弱いAI」ではなく、脳の働きを模したコンピュータであるニューロモーフィックコンピュータなど次世代の「強いAI」のためにも研究に力を入れています。サービス動向では脳波でドローンを飛ばすというエンタメ色の強いものから、学校のクラス全員が脳波計をつけて授業に臨むという教育の分野まで幅広く浸透しつつあります。

 EUで行われているのが「Human Brain Project」です。テクノロジーで脳をシミュレートすることで脳を理解し、社会的課題の解決を目指しています。サービスでも睡眠の他にストレス軽減などを目指す商品も出てきています。

 日本では理化学研究所が中心となった「Brain /MINDS」などの研究プロジェクトがあります。優れた基礎研究が多数報告されていますが、他国に比べて医療のハードルが高いためにヘルスケアの分野のサービスは浸透が遅れているようです。一方アンケートだけでは汲み取れないユーザーの生の反応を脳から計測することで補う「ニューロマーケティング」が活発で、商品のパッケージデザインやTVのCMに活用しやすいこともあって、多くの企業が取り入れています。

1) 教育・スポーツ

 計測した脳の状態を映像や音で分かりやすく伝えるニューロフィードバックという技法があります。もともとADHD(多動性症候群)やPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療などに使われていましたが、センサー技術が発達し病院に行かなくても手軽に脳波や脳血流を計測できるようになったことで、ニューロフィードバックを教育やスポ―ツで能力向上トレーニングに活かすことができるようになりました。また、脳の特定部位に電気刺激を与えることで脳の可塑性に影響を与えて学習効率を上げるといったサービスもあり、これらをアメリカのオリンピックチームやプロスポーツチームが練習に導入しているという事例もあるため、注目が集まっています。

 

2) 睡眠・音楽

 睡眠の分野は、スマートウォッチによる眠りの質のトラッキングや、より快適な眠りのために快適な温度に自動調整するスマートベッドなど興味深い製品が多く出ていますが、ブレインテックと非常に相性が良いと言えます。脳波を計測すれば簡単に眠りのステージが分かるため、より良い睡眠のためのアプリと連動する脳波計デバイスが注目されています。

 音楽についても、音楽が脳に与える影響の研究は多くあり、また音楽は脳に刺激を与える最も簡単な方法の一つということで、注目を浴びています。リラックスや集中など、シーンに応じて望ましい音楽を自動で選んでくれるようなサービスも出てくるかもしれません。課題は、好みなどによる個人差です。データが集まれば集まるほど分析と予測は正確になっていくため、どこまで浸透するかが鍵となってくるでしょう。

 

3) ヘルスケア

 規模は最も大きいものの、医療まで踏み込むとどうしても時間がかかってしまうため、今後成長が期待できると言えるでしょう。脳に電気刺激や磁気刺激を与えることで記憶力が回復したというような研究は増え続けているので、これらの研究に基づく製品が日本に登場するのも時間の問題と思われます。海外では、既に認知症予防やメンタルトレーニングなどの分野でFDAの医療機器認定を取得したブレインテックサービスなども登場してきています。

背景

新型コロナウイルスの感染防止対策による三密回避や外出自粛により、消費者のステイホーム時間が増加しています。その中で、「巣ごもり需要」を背景にゲーム市場が拡大しており、今後、ゲームはウィズコロナにおける人々の生活における不安、ストレス、悩みを解消し、幸せをもたらす存在としての重要性が増すことが予想されます。

ゲームプレイによる心理変化を計測する実証実験を行いました。

【デジタル治療に向けたコンセプトAIについて】

本実証実験は、AIや人間情報データベースを組み合わせて活用することで、消費者の状態・気分およびコンテンツの特徴を把握し、消費者に素敵な出会いや予想外の発見をもたらし、望ましい状態・気分に導くことを目的にした「AI)」を構築し、デジタル治療への活用を目指します。

 

図1:「Serendipity AI」コンセプトについて

【実証実験概要】

本実証実験は、人間情報データベースのモニター30人(未経験者、中級者、上級者10人ずつ)を対象に、PlayStation®4『ぷよぷよeスポーツ』をプレイしていただき、ゲームプレイ前とゲームプレイ後の心理(「喜び」、「悲しみ」、「怒り」など)に関する紙による質問調査を実施し、ゲームプレイ前後の心理変化を測定しました。実験に際しては、新型コロナウィルスの感染防止対策(部屋の換気、実験機材の消毒、パーテーション設置、など)を徹底しました。

 

未経験者に着目し、人間情報データベースとゲームプレイ前後の心理変化の相関分析を行った結果、「うつ傾向が高いほど、ゲームプレイ後のエネルギー覚醒(気力に満ちた、エネルギッシュ、など)が高くなる」「ギャンブル依存症傾向が高いほど、ゲームプレイ後に癒されると感じる傾向が高くなる」といった相関が見られました。

今回の実験でゲームプレイが心理に影響を与えることが示唆されたため、今後は被験者数を増やすことに加え、『ぷよぷよ』以外のゲームコンテンツも含めたゲームプレイによる心理変化に関するデータ拡充を行います。3社は、AIを活用してゲームをデジタル治療に積極的に活用していくことを目指した研究を本格的に進め、将来的に、ゲームプレイヤーとゲームをつなぐ最適なマッチング・プラットフォームの開発を目指します。

■『ぷよぷよ』

『ぷよぷよ』シリーズは、今年30周年を迎える国民的アクションパズルゲームです。単純で分かりやすいゲームシステム、可愛らしいキャラクター、さらに落ち物アクションパズルゲームとして初めて対戦形式を導入したゲーム性により、幅広い層から好評を得ています。2018年3月にはJeSU(日本eスポーツ連合)公認タイトルとなり、eスポーツシーンでも『ぷよぷよ』を使用した多数の競技大会が実施されております。

AI

AIは、コンテンツ視聴時の視聴者の脳活動予測し、その脳活動からコンテンツ視聴により誘起される行動・広告視聴データ等を推定する技術です。

表情や感情、声から印象を見える化は動画から話し手の表情、感情および声をデジタルパラメータ化し、印象値を算出、レポートを作成するサービスです。本サービスは動画から話し手の表情、感情および声をデジタルパラメーター化し、話し手の印象値を算出、レポートを作成するものです。利用者はスマートフォンなどのカメラデバイスで話し手を撮影した動画を本サービスウェブサイトにアップロードするだけで分析レポートが作成されます。利用者はレポートをダウンロードし、スマートフォンやパソコンで閲覧することができます。用途・適用業務

  • オンライン営業支援
    新たな顧客接点として注目されるオンライン営業において、営業の振る舞いとお客様の反応を可視化。
    ブラックボックスだった優れた営業の振舞いを横展開し、効率的に応対品質を向上。

  • 営業研修支援
    営業のロールプレイを撮影し、お客様に与える印象や本人が気づきにくい癖などを見える化。
    時間や場所、人に縛られずセルフトレーニングが可能な環境を提供し、自学自習を促進。

  • 採用面接支援
    エントリー動画やオンライン面接の動画から面接官及び応募者の振る舞いや印象を効率的に可視化。
    人の目での判断によるバイアスを減らし、多面的に応募者を評価できるよう評価作業を支援。

メリット・効果

例えば、研修講師や研修受講者同士がロールプレイを評価する際など、一定の基準で客観的な評価をすることは困難です。本サービスは一定の基準で話者の表情、感情、声及び印象値を評価することができます。また、ウェブサービスのため集合研修等における場所と時間の制約から解放されます。

特長

  • 営業研修などにおいて受講者が繰り返しロールプレイやプレゼンテーションを練習できるよう、レポート内容を簡潔化し、ゲーム要素としてランキング機能を搭載。

  • 手軽にスマートフォンで撮影し、分析まで完了できるインターフェイスを提供。

保険会社における営業活動において、いうまでもなく第一印象がきわめて重要な要素になる。笑顔に満ちた対応で親しみやすさや安心感を抱いてもらえれば、生命保険契約の加入に向けた大きな一歩になるだろう。三井住友海上あいおい生命保険は、営業活動を行う社員や代理店の募集人の育成とお客さま満足度向上に向けて、表情や声から第一印象を“見える化”するNTTデータの「Com Analyzer」を採用。セールス役とお客さま役を設定するロールプレイング研修の代替として、一人でもセルフトレーニングできる環境をめざし、本格導入をスタートした。

お客様の課題

  • お客さま対応の品質アップに向け、ロールプレイングをより多くの社員・募集人に実施・習慣化してもらうこと

  • 事務業務を担当していた社員が営業業務にシフトしていく、役割革新施策の展開に伴い、営業活動に効果的な販売トレーニングを行うこと

  • 時間や場所、人に縛られず、セルフトレーニングが可能な研修機会を提供すること

導入効果

  • わかりやすい表示や評価の定量化、ランキングを導入する等のゲーム性を持たせ、楽しみながら何度もセルフトレーニングできるサービスを導入

  • AIが短時間で第一印象を判定するため、トレーニングを効率的・効果的に推進できる土壌を整備

  • スマートフォンのカメラで自身の第一印象を評価できるので、いつでもどこでもロールプレイングを実施可能に

本稿に登場するサービス

Com Analyzer

話し手の映像を解析して、表情、話す速度、声の大小・高低といったいわゆる“ノンバーバル”の要素をアイコンで評価。そこから導き出される「親しみ」「落ち着き」「熱意」を100点満点で評価するほか、第一印象として相手に伝わる感情もグラフで表示する。

「Com Analyzer」詳細はこちら

 

ケーススタディ

導入の背景と課題

お客さま満足度アップに向けて必要なロールプレイングが実施されにくい現状に危機感を覚える

お客さま満足度アップに向けて対応品質を上げるため、人と人が一対一で向き合い、ロールプレイング形式での販売トレーニングを取り入れている。

ただ、ロールプレイングは当然ながら相手を必要とする。研修内では講師役がいるため問題にならないが、参加者が各職場に戻れば、先輩や上司をつかまえロールプレイング形式での販売トレーニングを実施することは難しく、なかなか定着していなかった。

加えて、同社では営業事務の集中化を始めており、これまで事務を担当していた社員に営業の仕事を任せるため、販売トレーニングの必要性が高まっている。

既存社員・募集人の対応品質向上と、新規に営業を担う社員の育成。この2つの課題が、営業教育担当者の頭を悩ませていた。「販売トレーニングを効果的に行うため、セルフトレーニングが可能な研修ツールを求めていました」。同社 営業教育企画部 教育企画グループ

 

選定ポイント

従来の人間による評価とAI評価との共通性に期待し実証実験をスタート

、動画に映った話し手の外見(表情と声)をAIで解析し、第一印象を可視化するというサービスである。顔の筋肉の動きをトラッキングしてデータ化し、表情を特定したうえで「喜び」「悲しみ」「怒り」「驚き」といった感情を認識。さらに、話す速度と声の大小・高低から話し方を識別する。こうしたデータを数値化し、総合的な第一印象を見やすい形の評価レポートで提示。これまで難しかった対面チャネルでのマーケティング分析にも寄与するツールだ。

AIによって人間の外見から想定される第一印象を見える化し、それをもとに対応品質を向上させていくプロセスが、ロールプレイングのトレーニングで研修対象者を客観的に評価する過程と似ていることに着目したという。

AIとデジタル技術を活用したこのサービスによってロールプレイングを代替できるなら、まさに課題を解決するソリューションになるのではないかともに集合研修の場などを使って実証実験を開始した。

「とはいえ、当社において、AIを業務の中で活用することがほとんどなかったので、AIを使ってどこまでできるのかという不安もありました」実証実験は、いわば半信半疑の状態で2017年冬にスタートした。

導入の流れ

実際の運用環境を試行錯誤の末に整備 ユーザーがわかりやすい表示方法も追求

2018年3月までに実施されたこの第1次実証実験では、まず、従来のロールプレイング研修で人が話し手の外見に対して行う評価と、行う評価との間に相関関係があるかどうかを検証した。つまり、はじき出す数値に実際的な意味があるかどうかを確認したわけだ。

同社で撮影した話し手の動画をHOCインテリジェントテクノロジー株式会社で分析し、評価レポートを返す。その結果を検証したところ、人とAIで共通する傾向が見られた。

第1次での一定の成果を受け、2018年8月から第2次実証実験が開始。複数の集合研修を対象に実施したこの第2次ではHOCインテリジェントテクノロジー株式会社も同行し撮影サポートや動画分析を行うなど、研修現場での運用面に関する課題洗い出しに注力した。

「カメラで話し手の動画を撮影する際、角度や光の加減によって表情の認識度が落ちる問題が起きました。そこで撮影条件をマニュアル化し、分析に適した動画を撮影できることを確認しました。同時に、ロールプレイングを試行した受講者にアンケート調査したところ、AIによる評価に対して満足を感じていることもわかりました。」

ちなみに、当初の評価レポートは「笑顔が少ないです」「声が小さいです」といった文章で表示されていた。しかし文章では評価の意味が伝わりにくいと感じたHOCインテリジェントテクノロジー株式会社と話し合い、評価の表示方法を笑顔マークなどのアイコンに変更するなどシンプル化を進めた。その結果、受講者には文章よりもダイレクトに評価が伝わるようになったという。

一方、この第2次で、AIによる判定の基となるデータ作成のため、150を超える動画をひたすら視聴し、一つひとつに評価点を付けていく作業が大変だったと振り返る。「とにかく量が多いうえ、見る人間によって着眼点が異なることもあったので、試行錯誤を重ねながら進めていきました
年を越して2019年初めに第2次実証実験が終了し、2019年5月27日から導入をスタート。晴れのファーストユーザーとなった。

導入効果と今後の展望

楽しみながら繰り返し試せる要素を追加 これまでなかった“気づき”が得られる

導入後、まずは営業教育企画部内でトライアルを実施。この段階で、使用するスマートフォンの機種によりカメラの設定方法が異なる点、動画アップロードに要する時間が通信状況に左右される点が新たな問題となった。主な機種ごとの設定方法をマニュアル化し、複数機種への対応を図った。HOCインテリジェントテクノロジー株式会社では機種に依存しない撮影方法の開発を進めている。また、通信状況の問題に対してはモバイルルーターの導入によって解決した。

さらに、ランキング機能を付けたいという要望をHOCインテリジェントテクノロジー株式会社に出したという。「ロールプレイングを繰り返し実施してもらうため、何度でも試したくなるような遊び心、ゲーム性も必要だと思いました。ランキング機能が付いたことで、習慣的に利用することへのモチベーションが上がる効果を実現できたと考えています。数分で結果が出るところも、手軽に試してみようという動機につながりやすいと感じました」

実際に募集人に試用してもらったところ、「気づきにくい点が数値で評価され、改善につながる」といった評価に加え、「もっといい点数を取りたいと思った。継続的に実施すれば自身のレベルアップになる。お客さま訪問前の印象チェックにも使いたい」という感想も聞かれたという。対象は主に40代、50代のベテランだったが、AIの評価に対して「自分は笑顔が足りないと初めて知った。お客さまへの対応向上につながる」という反応もあり、それぞれが学びを得たようだ。

トライアル期間を終え、今後、活用状況・費用対効果等を見据えながら全国の社員・代理店への本格導入の検討に入る。「相手がいなくても、また時間と場所も選ばずにロールプレイングをセルフトレーニングできるようになったのはやはり大きなメリットです」と今回の導入を評価。今後は従来のロールプレイング研修をメインとしつつ、も積極的に活用していきたいとしたうえで、次のように期待を寄せた。

「より多くの人に使ってもらうため、これからも改善を続けていきたい。表情と声だけでなく身ぶりや視線なども評価対象に追加していくとのことなので、楽しみにしています。さらには口ぐせなど、言葉の部分もAIで評価できるようになれば嬉しいですね。AIはわからない部分が多かったのですが、HOCインテリジェントテクノロジー株式会社には一つひとつ相談に乗っていただき、丁寧なサポートに感謝しています。これからもお客さま満足を向上させるため、このサービスを一緒に鍛えていきたいと思います」

HOCインテリジェントテクノロジー株式会社としても、現在は単一尺度での評価だが、今後は顧客の属性に応じた尺度の選択、シチュエーションに応じた指標の出し分けなど、より実際の営業シーンに近づけたロールプレイングを可視化できるように、同社と協力しながらサービスの高度化を図りたいと考えているという。また、身ぶりや手ぶり、言葉の部分などに可視化の対象を拡大し、「人をデジタルで理解する」レベルにまで高めていくこともめざして取り組みが進められている。

お客様プロフィール

 

お客様名

三井住友海上あいおい生命

本社所在地

東京都中央区新川2-27-2

会社設立

1996年8月8日

事業概要

生命保険4社の合併を経て、2011年10月にMS&ADインシュアランス グループの国内生保事業の中核会社として設立。高齢化に伴う介護・医療負担増をはじめとする社会環境の変化を受け、多様な保険商品を発売する。2018年度スタートの中期経営計画ではSDGs(持続可能な開発目標)を道標ととらえ、「健康で安全なくらしを支える生命保険会社」の旗印のもと、お客さま満足と企業価値の向上に向けて取組みを進めている。

AI(人工知能)

客様の課題

  • お客さま対応の品質アップに向け、ロールプレイングをより多くの社員・募集人に実施・習慣化してもらうこと

  • 事務業務を担当していた社員が営業業務にシフトしていく、役割革新施策の展開に伴い、営業活動に効果的な販売トレーニングを行うこと

  • 時間や場所、人に縛られず、セルフトレーニングが可能な研修機会を提供すること

導入効果

  • わかりやすい表示や評価の定量化、ランキングを導入する等のゲーム性を持たせ、楽しみながら何度もセルフトレーニングできるサービスを導入

  • AIが短時間で第一印象を判定するため、トレーニングを効率的・効果的に推進できる土壌を整備

スマートフォンのカメラで自身の第一印象を評価できるので、いつでもどこでもロールプレイングを実施可能に話し手の映像を解析して、表情、話す速度、声の大小・高低といったいわゆる“ノンバーバル”の要素をアイコンで評価。そこから導き出される「親しみ」「落ち着き」「熱意」を100点満点で評価するほか、第一印象として相手に伝わる感情もグラフで表示する。お客さま満足度アップに向けて必要なロールプレイングが実施されにくい現状に危機感を覚える

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■人間情報データベース

「人間情報データベース」は、2016年から構築を開始し、約5万人分の個人の性格、文化、認知バイアスなどの人間特性をこれまでに累計3,000項目以上取得しています。本データベースの特徴は以下の通りです。

① 構築開始から4年間で同一モニターから継続的にデータを取得

② 本データベースは、日本の縮図であり、社会実験やモデリングに最適な環境

③ 本データベースを活用したソリューション構築・導入の実績を有する

応用脳科学コンソーシアムが
産学連携による脳科学とAIの融合研究を開始

【背景】

世界中でAIの研究や事業応用が急速に進む中、今後、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の流れにのり、AIがビジネスに与えるインパクトはさらに大きくなると予想されています。このような中、人間の脳の仕組みや機能をAIに応用する脳科学とAIの融合研究は、今後、一つの大きな分野となりうる可能性を秘めています。
日本の脳科学研究は世界でもトップレベルであり、若手の優秀な研究者が多数存在しますが、そういった脳科学の研究者の持つ知見や研究成果をビジネスへ応用することを推進する場は不足しているのが現状です。
この度、応用脳科学コンソーシアムでは、新たに脳科学研究とAI開発を融合させ、その成果の産業応用を通じ、わが国の国際的競争力強化の一助となるよう、産学連携による研究開発活動を開始します。

【目的】

  • このような背景のもと、日本国内において中長期的かつ継続的に脳科学とAIの融合研究の産業応用に向けた取り組みを実施する、社会的中立性の高い組織の実現を目指す。

  • 脳科学研究とAIの融合を図り、その成果の産業応用を加速し、日本企業の国際競争力を強化できる仕組みの構築を目指す。

  • 複数の企業と研究機関が協力して共同で研究開発を行うことで、不足しがちな人的資源、情報資源等を効率的に配分し、研究開発を加速するとともに、脳科学とAIの融合に関する知見を産業に応用できる人材の育成を図る。

【活動概要】

  • 応用脳科学コンソーシアム内に、新たに脳モデル開発ユニットを設置する。同ユニットでは、五感入力(刺激情報)を中心にした身体内外の環境変化に対する脳反応を脳情報データベースとして蓄積・解析し、脳モデルの構築を目指す。さらにそのモデルをベースとしたAIの研究開発に取り組む。

  • 応用脳科学R&D研究会による研究活動、応用脳科学アカデミー&ワークショップによる脳科学やAIに関する学習機会の提供、応用脳科学ネットワークによる脳科学やAIを含め人間研究に関する情報をメールマガジンやSNSで提供するなど、脳科学の産業応用に関する普及啓発、脳科学とAIの知見を有する人材の育成を行う。

 

脳モデル開発ユニット参加企業(50音順、2020年9月14日現在):

  • 旭化成株式会社

  • アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社

  • 株式会社NTTデータ

  • 株式会社NTTデータ経営研究所

  • DIC株式会社

応用脳科学コンソーシアム所在地

感性に迫る

「脳科学×AI」の融合研究を世界に先駆けてマーケティングへと応用し、広告を見ている人が何を感じているかを脳活動から予測する日本発の革新的な動画解析サービス。開発メンバーが語るその実力から、人間×テクノロジーの新地平が見えてきます。

日本発、感性の秘密に迫る革新的技術

脳科学で感性を解明し、応用するプロジェクト

 

脳活動計測を前に、fMRI(機能的MRI)内での動画視聴に備えて準備する被験者 ©NICT・CiNet

AIをはじめとするテクノロジーが目覚ましい進展を見せる中、「人間らしさ」のカギを握る要素として注目が集まる感性の領域。人間は1人ひとり異なる感性を持っており、同じ商品や表現を前にしても、その反応は人によってまったく異なります。有史以来、感性は人それぞれの内面性を表すものとして、人間社会や文化の基本的な要素と考えられてきました。
このように「人間らしさ」の聖域と考えられてきた感性のメカニズムを脳科学によって解明し、実用的なサービスとして活用するという、世界でも類を見ないプロジェクトがここ日本で進められています。プロジェクト名はAI® Planner」開発された動画解析サービスです。
第1章では、このサービスの仕組みについて、サービスの効果や写真コンテストなどへの応用の試み、今後の展望について語ります。

動画視聴中の脳活動を計測し、自然言語で抽出

 

 私たちの脳は、外界から受ける刺激を処理して体験内容を生成しています。fMRI(機能的MRI)(※2)は、脳活動計測を介してこの処理過程を解明する強力な道具です。私たちはこのfMRIによる計測結果を元に、刺激から脳活動を予測する人工脳モデルと、脳活動から体験内容を予測する解読モデルを作成し、脳の理解や知覚内容の推定などに取り組んできました。例えば、屋外の風景写真を目にした場合であれば、脳が受け取った意味知覚情報を、「sky」「tree」「people」といった自然言語によって抽出することに成功しています。
また、これまでに蓄積してきた両モデルをつなげることによって、必ずしもfMRIによる計測を行わずとも、人が何を感じるかという傾向を予測できる、“ある種のAI技術”を実現できると考えました。

 

「AI-Planner」における、動画視聴中の脳活動解析画面。AIの自然言語モデルを適用し、印象を形容詞で表示している

───サービスの背景として、fMRIを用いる方法と、用いない方法の2種類があるということですね。

fMRIを用いる場合は、依頼企業の動画広告を被験者に視聴してもらいながら、fMRIで脳活動を計測し、視聴時の印象や感覚を「楽しい」「可愛い」「難しい」といった形容詞でアウトプットしていきます。この方法によって、これまでは定量化が難しかった広告の「質」を評価することができるようになりました。一方、fMRIを用いない場合については、過去に蓄積されたデータから脳活動を予測することで、同様のアウトプットを行う仕組みを独自に開発しています。

───fMRIで解読された脳情報をマーケティングに応用する試みは世界的にも前例がないそうですが、脳科学研究にとってこのプロジェクトで得られるメリットとは何でしょうか。

 広告の認知率や購買行動など、通常の研究室では得られない様々なマーケティングデータを活用できることでしょうか。私たち人間はいわば、「自然動画」とも呼ぶべき膨大な視覚刺激の中で生きているとも言えます。その刺激がどのように脳に反映され、心理的な印象や行動に結び付くのか。「AI-Planner」で得られるマーケティングデータを活用していくことで、学術的にも大きな進展が見込まれています。

大阪・吹田市を拠点とし、異分野融合により脳情報科学の研究を進めています。、人間の脳機能についての理解を格段に高め、知的機能をもつ先端技術を開発する我が国の代表的研究センターです。研究棟は、2013年3月に開所し、最新の設備で脳の機能についての基礎研究を進めると同時に、情報通信技術、ブレイン・マシン・インターフェース、脳機能計測、ロボット工学などの相互に関連する分野での応用研究も実施しています。

、想像力豊かでパイオニア精神にあふれる科学者が国内外から30名以上集まり、彼らが率いるラボでは、100名以上の研究者、技術者が研究に従事しています。
このような研究者の活躍により、人間の健康、福祉、生活の向上に役立つ新しい技術スタイルを探求している、極めて独創的で、分野を超えた連携研究を進めている研究所です。

https://www.jsps.go.jp/index1.html

http://www.nict.go.jp/employment/index-top.html

 

※1 脳情報通信融合研究センター

2013年、国立研究開発法人情報通信研究機構と大阪大学によって、大阪府吹田市に開所。脳科学と異分野の融合研究を先導すべく、大学や企業の研究者も参加する産官学連携の研究体制で、脳機能研究の進展とその工学応用に取り組んでいる。
 

※2 fMRI(機能的MRI)

MRI(磁気共鳴機能画像法)の原理を応用し、脳が機能しているときの活動部位の血流の変化(血流動態反応)などを画像化する装置。生きている脳内の生理学的な活性を測定し、視覚的に表現するニューロイメージングの最有力手段でもある。

広告の印象を脳科学×AIで解き明かす

脳の理解が導く、革新的サービスの展望

 

fMRIでイメージングした動画視聴中の脳活動の様子。活性化部位を赤、非活性化部位を青で表示している

「D-Planner」は、今後の進展が期待される「脳科学の産業応用」の先駆的な事例として、どのような効果を挙げているのでしょうか。西本博士、とともにプロジェクトを推進する社会基盤ソリューション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部 デジタルソリューション統括部の実力と成果、そして将来のビジョンについて語ります。

───動画視聴者の実際の脳活動を元に動画広告の効果を予測する「AI-Planner」ですが、脳科学関連の取り組み全体において、どのようなプロジェクトと位置付けられているのでしょうか。

 弊社グループでは、世界に先駆けて脳科学の利用による革新的なソリューション開発を大型の産学連携体制で進めています。その中でもいち早く実用化が期待されているのが、商品やサービスと脳活動の解析にAIを活用する「AI」と呼ばれる領域です。「AIPlanner」はその1つの成果ですが、脳科学(ニューロサイエンス)とAIの組み合わせをマーケティングに取り入れた点が大きなポイントでもあります。)

ただ、「NeuroAI」のプロジェクトにとってマーケティングは、あくまで入り口に過ぎません。脳科学に限らず、AIやIoT、VRやARといった最新の技術によって、これまでは見えなかった情報や行動などの傾向が次々に「見える化」されてきました。その点では脳科学も、fMRIという計測機器が発達しなければ見ることのできなかった脳の活動を「見える化」したと言えます。そして、その知見をマーケティングに活用することで、従来の「マス」ではなく「個」として消費者を理解し、1人ひとりに最適化された商品やサービスを展開することができるようになる。こうして広がっていくコグニティブなサービス(※1)の市場を、脳を中心とする人間計測技術の活用によってリードし、消費者理解の高度化を進めていきたいと考えています。

広告の「質」を科学的に評価する仕組み

 

「D-Planner」による脳活動計測の一コマ。fMRI(機能的MRI)内の被験者の様子、視聴中の動画、脳内の活動状況などがモニターに映し出されている 

───脳を知ることは人間について知ることであるという視点から、ゆくゆくは産業や社会全体の最適化や効率化を導いていきたいということですね。その上で、「D-Planner」の画期的なポイントとは何でしょうか。

矢野 メディアが多様化し、動画広告の活用シーンはますます広がっていますが、動画には強い訴求力がある一方で、効果測定が極めて難しいという弱点があります。視聴率や再生数、アンケート調査などの指標から測ることができるのは、あくまで主観的かつ記憶などに頼った間接的な効果に過ぎないため、アンケートやインタビューで良い回答が得られたとしても、それが実際の購買行動と合致しないなどのジレンマがありました。
それに対して「D-Planner」は、脳の活動を実際に測定し、数値化することが可能です。「視聴者が広告を見てどう行動したか」という結果ではなく、これまでは科学的な評価が不可能だった「クリエイティブの質」を定量化できるようになったということは、非常に大きな進歩だと思います。

なお、脳科学をマーケティングに活用する「ニューロマーケティング」という言葉自体は目新しいものではありませんが、計測・解析・結果の解釈の科学的妥当性や再現性など、様々な問題点が指摘されてきました。その中で我々の技術は情報分解度が高く、科学的な視点から正確な解析が行われている点でも、既存のものとは一線を画しています。

 

動画視聴中の脳活動を解析し、指標として設定したキーワード「デジタル化」「伝統」「挑戦」「未来」が広告の制作意図どおりに伝わっているかどうかをグラフ化して表示したもの

───「D-Planner」は2016年から実用的なサービスとして展開されていますが、現時点での導入事例や効果について、具体的に教えて下さい。

矢野 大きなメリットとしては、企業のブランドイメージやメッセージが動画広告によって消費者へどのように伝わっているか、これまで経験と勘に頼っていた世界に脳情報データによる裏付けを与えられることです。例えばアウディジャパンとの事例では、テレビCMの各シーンが意図した通りの印象をもたらしているかどうかについて効果測定を行ったほか、制作段階のCMの候補案についても比較検討をしていただきました。ほかにも飲料メーカー、消費財メーカーなど、現時点で20社以上の企業に導入いただいています。

さらに、この秋からはクラウドサービスとしての展開も予定しています。使い方としては、Webに動画をアップロードしていただき、「格好いい」「優しい」「親しみやすい」など、指標にしたい言葉を検索窓口に記入すると、動画の場面ごとにその指標がグラフ化されて表示されます。これまではコンサルティングサービスとしての提供だったため、ご依頼を受けてからレポート提出まで日数が必要でしたが、CMなどコンテンツ制作の意思決定支援をほぼリアルタイムで行えるようになる予定です。fMRIを使わず、AIの脳活動予測技術による解析手法を確立できたことで、より低コストで迅速な提供が可能になるというわけです。

※1 コグニティブ・サービス

脳科学やAIなどを活用した深い消費者理解の下に設計され、自律性を持ちながら1人ひとりに最適化されたソリューションを提供し、人間の行動や意思決定を支援する、進化したサービスのあり方。

写真コンテストで「AI審査」を実施

 

「D-Planner」による脳活動計測の一コマ。fMRI(機能的MRI)が捉えた脳内の活動状況が、リアルタイムでモニターに映し出されている ©NICT・CiNet

───必ずしもfMRIを使うことなく、即座に動画の印象が解析されるサービスが既に実用化されていることに驚きました。さらにこのサービスをフォトコンテストの選考にも応用するなど、新たな展開にも着手されているそうですね。

矢野 「D-Planner」の評価モデルを応用して、ゲッティ イメージズ ジャパンが年末に開催するフォトコンテストに参加しています。ゲッティ イメージズは報道や広告向けに写真や動画を提供する世界最大級のデジタルコンテンツカンパニーであり、世界中で撮影された報道写真からその年を象徴する写真を公開する「Year in Focus」を開催していますが、選考委員を務めるクリエイターたちと並んで「AIが選ぶ今年の1枚」を選出しました。

 

ゲッティ イメージズ ジャパン「Year in Focus 2017」で選定された「AIが選ぶ今年の1枚」。イタリアの沖合で転覆した難民船の救助風景をとらえた「MOAS(漂着難民救護所)の捜索と救助がピークを迎える」(Photo: Chris McGrath / Getty Images)

矢野 最初の参加となった2016年にはfMRIを用いた選考を行いましたが、17年はAIによる評価モデルを導入することで、より短時間で大量の写真を審査できるようになりました。その年を象徴する写真ということで、「優しい」「強い」「温かい」などのポジティブワードと、「恐ろしい」「悲しい」「苦しい」などのネガティブワードを設定し、両方の印象を併せ持つ1枚として、地中海における難民船の救助活動を捉えた作品が選ばれました。

同じく16年からは、全世界の弊社グループ社員を対象とした「でも同様に、「D-Planner」を活用した「AI審査」を実施しています。これは世界共通のコミュニケーションツールである写真を題材に、異なる言語や文化など多様性あふれる社員たちの結束を高めるための企画です。成長や上昇といったポジティブなイメージにつながる5作品を選定し、発表しました。
 

科学×ビジネスで目指す、人間理解の新時代

 

───設定する言葉や印象を変更することで、様々な角度から感性的な評価が可能になるわけですね。一方で人間の場合、どうしても見る順番や疲労感などによって印象が左右されてしまいますが、「AI」の技術を活用することで、より正確かつ公平な審査ができるということでしょうか。

矢野 確かに、そういった側面はあると思います。逆に、1人ひとりの脳活動の傾向をAIに学習させることで、人間の個人差を浮かび上がらせることも可能です。つまり、特定の人に焦点を当てて擬似的に脳活動を予測すれば、その人が選ぶであろう1枚を選定することができるはず。将来的にはもしかすると、世界的な偉人やクリエイターの脳の活動傾向を擬似的に再現できるかもしれません。その前に「D-Planner」のサービスとしても、現時点のように動画を評価するだけに留まらず、制作現場の意思決定をより効果的な方向へとアシストできるようなステージを目指したいと考えています。

───脳科学とAIの融合によって人間の心理や行動などの特性が科学的に解明されれば、映画や広告業界をはじめ、感性という言葉に委ねられてきた人間の表現文化自体が、新たなステージに突入する可能性もありますね。

矢野 それはあくまで将来的な可能性の話ですが、弊社でも具体的な取り組みが既に始まっています。17年秋には、脳情報解読技術を中心として、より積極的な事業応用を目指すべく「脳情報通信ビジネスラボ」を設立し、先生方と様々な共同研究を進めています。そのテーマの1つが、脳の個人差に着目し、脳活動のペルソナ(※1)をつくること。こうした活動は脳だけでなく消費者、つまり人間について理解を深めることにほかなりません。
 

そしてそれは、社会的な課題をITで解決していくという弊社の企業理念にもつながります。個性のデジタルアーカイブ化や、人間らしい個性を持ったAIの開発など、将来の可能性は尽きませんが、より深く統合的に人間を理解し、それを事業として社会に実装していくことで、1人ひとりの多様な個性に即した産業や社会のあり方が見えてくるはず。その一念で、これからも力を尽くしていきたいと思っています。

※本取材内容は、『INFORIUM』9号「脳科学から人間の感性を解き明かす」の取材内容をもとに、加筆・再構成したものです。
※タイトルバナーの脳の図像は「3D Brain」から描き起こしました。「3D Brain」は、コールド・スプリング・ハーバー研究所のDNA学習センターが製作・提供する脳の立体構造・機能学習スマートフォンアプリで、iOS、Android、Windowsに対応しています。日本語訳はNTTデータ経営研究所が提供しました。
Copyright 2005-2009, Cold Spring Harbor Laboratory. All rights reserved.

※1 ペルソナ

マーケティングにおいて、企業や商品の典型的なターゲットとなるユーザー像、人間像のこと。古典劇における「仮面」を語源として、ユング心理学で人格や自己の外的側面を表す言葉となり、マーケティング用語として広く使われるようになった。

利用シーン

D-Plannerを活用することで、コンテンツマーケティングの成功確度を
最大限に高めることができます。

SCENE1企画

TVCM、Web動画、バナー、ポスターなど様々なコンテンツを横断的に分析し、消費者のトレンドやインサイトを可視化することで、マーケティングやクリエイティブの企画をサポート。

  • トレンドやインサイトに基づく新しいコンセプトの立案

  • 狙った意図を消費者に正確に伝える演出プランの立案

  • 複数のマーケティング施策におけるブランドマネジメント

 

SCENE2制作

クリエイティブの制作過程における確認や検証に活用することで、定量的な予測データにもとづいた表現のブラッシュアップや素材の選定が可能に。

  • ビデオコンテや仮編集段階における映像評価と意思決定の支援

  • 商品や人物撮影における最適なアングルの検討

  • Webサイトやドキュメント作成における構成確認や素材選定

 

SCENE3評価

消費者の知覚・印象をもとに各種マーケティング施策の評価や広告成果の深堀分析が可能に。

  • 広告成果と印象予測データを照らし合わせ成否の要因を分析

  • GAP分析機能による制作意図と実際の知覚との乖離測定

  • 好感度予測機能によるコンテンツのブランドリフト効果の検証

 

 

人間の脳は、経験から認知した情報を、異なる領域における認知や行動へ柔軟に応用する能力を持っています。この能力は、機械学習の分野で用いられる、転移学習(TL)の考え方に似ています。転移学習は、新しい領域で不十分な学習データしか得られない状況でも、その領域におけるモデルの性能を向上させることができます。特に、「畳み込みニューラルネットワーク(以下:CNN)」注3のような優れた機械学習モデルを用いた転移学習は、さまざまな領域に対して高い対応能力を示します。
しかし、いかに高度な転移学習を用いても、機械学習モデルに人間の脳に匹敵する対応能力を持たせることは未だ実現していません。これを解決するため、特に人間らしい認知が必要となる領域に機械学習モデルを適応させるために、ヒトの脳を媒介する転移学習の手法「Brain-mediated TL(BTL)」を開発しました。BTLでは、CNNが持つ視聴覚入力の情報を、個人の脳活動パターンによる情報表現に変換して転移学習に利用し、視聴覚入力が生じさせる人間の認識および行動を推定します。この検証結果から、認識・行動の推定において、BTLが脳を媒介しない標準の転移学習と比較してより高い性能を示すことが確認できました。異なる人の脳を使うことでBTLによる推定結果に違いが生じることを示し、その違いが個人による認識の差を反映する可能性を示しました。
以上の結果から、BTLを用いることで、機械学習モデルの対応能力が向上することが分かりました。また、BTLは、個人の多様性を含む形で、機械学習が人間らしい認識・行動を推定可能にするための技術的枠組みを提供すると期待しています。

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